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わたしの大黒さま

幼い頃から、
時々ですが、
誰かが見守っていてくれるような、
不思議な安心感の様なものを感じていて、
それが一体「どなた」なのか、
鈍い私には見当もつきませんでした。

「それ」が、初めてはっきりと私に語りかけたのは、
今は亡き上の妹が亡くなる数日前の事でした。

ダウン症の妹は、生まれつき心臓に重い障害があって、赤ちゃんだった時すでに
「二十歳まででしょう」と言われて育ちました。
無理をせずに静かに生きてきた妹は、二十歳を超えて26歳の誕生日を迎えられ、あと数ヶ月で27歳と言う時に、旅立って行きました。

亡くなった日の前週、突然大量の鼻血を出して救急搬送され、容態が安定した翌日には家に戻ってこられたのですが、翌週に二度目の大量出血が起きた時は意識を失い、そのまま帰らぬ人となりました。

その、3日前のこと。
まだまだ冬の冷たい空気がたちこめる早朝、私は当時飼っていた2匹の犬を連れて林道を散歩していました。
前の晩に降った雨が、冬眠から覚めようとしている地面の下の生き物達に生命を吹き込んでいるのが解るのか、犬たちは地面を盛んに嗅ぎ回り、私はしばらくその場にたたずんで明けてきた空を眺めていました。

その時です。

(●日にむかえにいくよ)

私の斜め上方から、静かに、かすかに、声が聞こえました。

「え?」

思わずキョロキョロしましたが、私と2頭の犬以外、誰もいません。

「●日って?」

私は空を見上げたのですが、もう、何も聞こえませんでした。

●日とは、その翌日でした。
重い障害のある妹は言葉がしゃべれないのですが、
表情やしぐさで私たち家族と「会話」が出来ていました。

私と下の妹(当時短大生)がたまたま近くにいたのですが、
居間のお気に入りの場所に座って通販カタログをめくっていた妹が、ふいに、
南側の窓を見つめ、静かに手を合わせ目を閉じました。

神仏に手を合わせる時の、あのしぐさです。
今まで、そういう事をする妹を見た事が無かったので、私はちょっと驚きました。
そして、早朝に空から降ってきたあの声を思い出したのです。

(●日にむかえにいくよ)

私は、空を見つめる妹の視線をたどり、薄曇りの天に向かって、
(まさか、まさか!連れて行っちゃうの?)
と問いかけたのですが、

何も、聞こえませんでした。

その2日後、妹は旅立ちました。26歳と10ヶ月の生涯でした。

************…

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