私立S学園の思い出2

「Conversation of silence」

高校に入学したら絶対美術部、と決めていました。
S学園(とりあえずまだ伏せ字で・・・)に美術部があるか否かも確かめないうちから、
「高校生活は絵の具まみれで終えたい」みたいな事を本気で考えていました。
バカですねえ(笑)

で、入部しましたよ。他に選択肢などありませんでした。

そしたら。女子は2人、男子は3人でした。
私ともう一人の女子、アキコちゃんは、聾学校からS学園に進学してきました。
大きな瞳が可愛らしい、素直で素敵な女の子でした。
アキコちゃんとの会話は、もっぱらスケッチブック。
生い立ちや趣味など色んな事を、スケッチブックにガンガン書き殴って、静かなお喋りをしました。

ストマイ注射の副作用で耳が聞こえなくなってしまったこと。
好きな芸能人の事。
彼女は三浦友和さんの大ファンでしたw
2年生の時、三浦さんはかねてから交際していた山口百恵さんと結婚し、百恵さんはそれを機に引退されました。

私たちはそれをクラスに備え付けのテレビで見ながら大騒ぎでした(笑)

その日の部活では、アキコちゃんは酷く落ち込んでいました。
「友和さんが結婚しちゃったよー!!」
スケッチブックに走り書きすると、アキコちゃんは深いため息とともに机に突っ伏してしまいました。
それでも、百恵さんの花嫁姿が綺麗だったと言う話で、私が得意のイラスト(笑)で百恵さんのウェディングドレス姿をスケッチブックに描くと「うわー♪♪」と言いながら笑顔になりました。

アキコちゃんは自身のハンディを生かした活動をするために、美術部は3年に進級する前に退部しました。

走り書きで埋め尽くされたスケッチブックが残りました。

つい最近まで、そのスケッチブックは物置にしまい込まれていました。
閉じ紐を解いて拡げると、どこが最初でどっちが最後になるのか解らない、言葉の嵐がそこにありました。

真ん中辺りに、走り書きした百恵さんのウェディングドレスの絵が(笑)

その周りには、「くやしい」「きれいだったよね」「いいなあ」「おしゃれだよね」という言葉が飛び交い、いつもより文字が投げやり(笑)

前歯がちょっと大きくて、二重まぶたの大きな瞳、おもしろい事があるといつまでも笑い転げる姿がなつかしい。


男子3人もなかなか個性的でした。
のちに部長となったT君。
私は彼のデッサンと水彩画にコテンパンに打ちのめされました。

う、うまい・・・!!!!Σ( ̄□ ̄;)

同い年でこんなに絵が巧い子がいたのか・・・

それはかなりショックでした。
入部して初めて描いたのが、石膏像「アリアス」の木炭デッサンでした。
今思い出しても、我が作品の低レベルにぞっとする(笑)
T君のデッサン力はそれはそれは素晴らしく、もぉアリアスそのものが木炭紙に乗っているような感じ。

うまい。うますぎる。
(このフレーズで十万石まんじゅうを思い出した人は埼玉県民ですww)

くやしい!!
しかも、ニコリともせずシレッとして丹精な描写をする。ううう。にくたらしー!!!
それからは、ホントにデッサン、頑張りました。巧くなったかどうか解りませんが、T君が目標になりました。毎日毎日、アリアスやヴィーナスを描きまくりましたよ。

私が密かにライバル心を燃やしていたのを、T君は知らないだろうなあ。
表面的にはとても仲良しでしたから(笑)


「イカツキ君」は、3年生で美術部部長のA先輩が「お前、いかつい顔してるなー」の一言で決まってしまった渾名でした。
2年生のM先輩は、イカツキ君の絵を「妖怪あぶらすましに似てる」とか言い出すし、結構いじられキャラでした(笑)
木訥とした風貌としゃべり方は、「S学園・放課後の精神病棟」とまで言われた美術部には珍しい「癒やし系キャラ」だったと思いますwww

色白だったK君は、先輩たちから「ホオジロ君」と呼ばれていました。
野鳥の名前から来ている訳ではないと思います。まず似てないし(笑)
シニカルで、物事を斜めに見ているようなところもあり、ふいに送る視線がまー氷のようでしたね。
その事を先輩たちに指摘されると、ちょっと寂しそうな顔でうつむいていました。
無意識にそういう視線を送ってしまうのかも。
しゃべってると結構穏やかで優しいやつでした。

男子3人に共通してるのは、あんまり笑わないこと。
なので、私ばかりがゲラゲラ笑ってて、ちょっとバカっぽかったかも(笑)

2年生後半になると、先輩たちは受験に備えて部活に出てこなくなりました。
そうなると、T君もあまり部室に来なくなりました。なんでだよ!
たまに廊下ですれ違うとき、「T君、部活出て来なよー!」と再三催促していましたが、一向に出てこなくて、そのまま翌年の卒業近くまで、幽霊部員状態でした。
部長なのにまったく。(ちなみに私は出来損ないの会計でしたw)

T君は来ないのに、何故だかT君の友達連中が部室に来るようになりました。

瑞穂という名前の写真部男子は、すんげーナルシシストでした(笑)
(あんた、自分の顔とかよく考えてからそういうキザな台詞を言おうね)
って、私は密かに鳥肌を立てながら思ったものでした。

それでも、彼が文化祭で写真部の作品展に出品した写真はとても素敵でした。
生まれたばかりの赤ちゃんを産湯につかわせてるシーンなのですが、緩いフォーカスとプラス露出補正で、新しい命の誕生に天使が祝福を送っているようなそれはそれは美しい写真でした。

あのナル男子(笑)が、なんでまた、あんな慈愛に満ちた写真を撮れるんだろうねえ?
私は彼に「すごい!感動したよ!!すごいよ!」と正直に感想を伝えたら、後日焼き増ししてプレゼントしてくれました。
その写真は今も持っています。かなり焼けてしまいましたが、今でも好きな作品です。
私はお礼にフィルムを3本贈ろうと思ったのですが、なにせ超奥手だし(笑)、男子にプレゼントなんてした事がないもんだから、渡すタイミングがないまま、卒業してしまいました。

Iくん、あの写真、本当にありがとう!(ってここで言ってどうするwww)
キザな野郎とか言ってごめんよwwww


M君は理系男子で成績優秀な優等生だったようですが(実はよく知らない)、T君と仲が良くて時折部室に来ていました。
(ちょうどそのとき、久しぶりに部室にT君が来てたんだったな)
彼は「奇食」な人でした。
当時、鹿刺し、馬刺しなんてそんなに滅多に食べられる料理ではありませんでした。
鯨肉の話とか、なんだかとにかく、色んな珍しい食材(ぶっちゃけ、ゲテモノ)を食べた話をしていました。

私は隣で「げげー」とか言いながらデッサンしていたと思います。

その後も何度か部室を訪ねてきて、理系の秀才はおもしろい事考えてんだなー、などと思いながら、M君の話を聞いてました。

卒業から数ヶ月後、お茶の水のデザイン学校に通う電車で、ばったりM君と再会しました。
建築系の学校に通っているとかで、話が弾んじゃいましたよ(笑)
私は造園デザイン科だったので、共通の話題があった訳です。

2度ほど、M君と電車内でばったり!がありましたが、それっきりです。


アキコちゃん、元気かな。愛くるしい顔は今も変わらないのかな。

T君、イカツキ君、ホオジロ君、I君、M君。
彼らももうすっかりオッサンになってるんだろーなー。

あの頃と変わらず、ムスッとしてるんだろうか(笑)相変わらずキザな事言ってるのかな。

まぁ、どうでもいいけど(笑)、元気でいておくれよー。。

コメント