巣立ちの日

前回から引き続き、生き物ネタ~

毎月1日に、
我が家では神棚に榊をあげます。

裏山で小ぶりの枝を伐り、
氏神様、台所、茶の間、床の間など数カ所に挿して行きます。

職場にも神棚があるので、職場の分も伐って会社に持って行きます。

4月も、いつも通りに榊を職場に持って行きました。

ある日、神棚の下に、
黒いゴマの様なものが落ちている事に気づきました。
(なんだろう・・・?)

見上げると、瓶に挿した榊が。

私は、榊から落ちた実か何か?だと思い、椅子に乗って神棚の榊を下げて机の上に置きました。


・・・そこで私が見たのは、


強烈な色の毛虫!!!!!

「イヤァッ(ノ><。)ノ))...」

一瞬後退りしましたが、呼吸を整えて(笑)間近に寄って見ました。

それは、
黒と黄緑と黄色の模様がある、見た目は決して気持ちの良い生き物ではありません。

一体、いつから神棚にいるんだ??
どこから来たんだコイツは??

よく見ると、固くてツヤツヤした榊の葉を食べています。
こんな固そうな葉っぱでも食べるのね。

・・・て事は・・・・

黒いゴマ状のつぶつぶは・・・・


毛虫の・・・・・フン・・・・だった訳です。



一気にテンションダダ下がり↓↓↓↓↓
もぉ・・・・触っちゃったよ!

私は手に除菌ソープをつけてゴシゴシ洗い、毛虫をどうしようか考えました。

一応、神棚で見つけた生き物だし、殺すって選択は無し。
じゃあ、外に放すか。
がしかし、榊の葉が好物らしいから、それに似た植物など職場の周りに無いし・・・

ううむ・・・

やはり「神様」と繋がりがあった生き物、このまま置いておこう。
1匹の毛虫が榊の葉を食べ尽くすなんて事はないだろうし・・・

私は毛虫のフンを片付け、榊を挿した瓶を再び神棚に戻したのでした。


それからと言うもの、
そっと神棚を見上げては毛虫の確認をしました。
「彼(彼女?)」は相変わらずモサモサと葉っぱを囓ってる。
大きさは3センチ弱。毛虫と言っても、まばらに細い毛が生えてるだけ。
がしかし、色と言い形と言い【閲覧注意】レベル・・・←なので写真はありません。

大きくなるのかな・・・あんまり巨大化したら困るなあ・・・・
などと思いつつ、そのままにして1週間が過ぎ・・・


ふいに、いなくなりました。

どこへ消えた?

神棚の隅から隅まで見渡しました。

いない。

いない。

ど、どこ?

あんなモサモサ歩きでそんなに遠くに行くはずもなく・・・

私は床やキャビネット、机などをくまなく見回したのですが、どこにもいません。

さあ困った。
事務所の隅っこで死んじゃってた、なんてのも困るよ!!!


そこでふいに気づきました。

そうか・・・

こういう幼虫ってのは、




さなぎになるじゃん!!!



あの勢いで榊を独り占めしてたんだから相当満腹だろうし、さなぎになってるはずだ!

がしかし、
そもそも、あの毛虫が何の幼虫か知らないから、どんなさなぎなのか、どんな成虫になるのか調べないと!


てな訳で、
「サカキ 害虫」でググる事数分・・・・

解った!

ホタルガの幼虫だ!

この蛾なら、よく見かけます。
初夏の夕暮れ、ヒラヒラと空を飛んでいます。
赤い頭と、黒い羽根。その羽根の端に白い線が入っていて、羽根を畳むと両方の羽根の白い線が緩やかな曲線で繋がり、自然が創り出した美しい模様は本当に素敵だなと思ったものでした。

そして、さなぎは繭に包まれている事も解り、神棚の榊をもう一度調べると、
確かに薄茶色の繭がついていました。


ここにいたのね・・・・・

榊の葉に包まれるように作られた繭を見ていたら、何だか情が湧いてきました。

そして、月が変わってまた新しい榊をあげるので、古い榊は処分するのですが、私は繭のついた一枝をハサミで落とし、家に持ち帰って羽化を待つ事にしました。
小さい瓶に挿して、キッチンの窓辺に置いてみたのです。↓


こういう繭の観察をした事など、子供時代にも無かったと思います。
当然ですが、繭は動かず、何の変化もありません。

もしかして死んでしまったのかもしれない。
それはそれで運命だから諦めよう。

繭は大体2週間で羽化すると聞いていましたが、半月経っても変わらず。

あと1週間置いて、何の変化も無かったら、きっと死んじゃったんだろうな。
そう思っていた先日の火曜日、都内から帰宅した私がキッチンに入ると、目の前を何かがヒラヒラと舞った気がしました。

「ん?」


私はその何かが去った方向に目を向けました。


あーーーーーーーーーーーー!!!!!

羽化したのねお前!!!
ついに!
ついに!

キッチンの壁の上方にとまった、小さな黒い蛾。
まぎれもなく、ホタルガです。

私はキッチンの窓に置いた榊の小枝を手に取りました。
パッと見には何の変化も無いのですが、よく見ると、繭の底が抜けて空っぽ。

ここから出て来たのね。

普通なら、
食卓に蛾を放すなんて事はいたしませんよ。

でも、今回は特別。

羽化したばかりのホタルガはジッと動かず、椅子に乗って間近に寄っても動きません。

そのまま朝まで置いて、翌朝早くにそっと手を伸ばし、パタパタと力なく飛び始めた蛾を、開けた窓に誘導して行きました。

ホタルガは外へ飛び出したのにまた戻ってきて私の胸元にとまり、それから外へと飛び去って行きました。

何?今のリアクションは???

「お母さんありがとう、さよなら!」・・・的なシチュエーションじゃございませんか!
ちょっと感動入っちゃうじゃんっ!!w

パタパタと弱々しい飛び方で、鳥など他の生き物もいる自然で生きていけるのかどうか、何だかちょっと頼りない様子でしたが、ここから先は人間が手を出してはいけない。

弱肉強食の自然界、生きるも死ぬも自然な定め。

でも、

頑張って生きて行くんだよ。
ちゃんと花を見つけて蜜を吸うのよ。
で、パートナー見つけて卵産むんだよ。

神様、どうか、護って。

私は出社後、神棚に手を合わせて、ここで育ったあの子の無事を祈ったのでした。

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