幸せへの決断~前に踏み出す勇気



私が子供の頃、太田裕美さんの「木綿のハンカチーフ」が大ヒットしていました。

彼女の甘く優しい歌声と裏腹の、切ない歌詞は子供ごころにも響きました。

恋人を故郷に置いて都会で働き始めた男性が、少しずつ都会の空気に染まって行き、ついにはもう戻らない、とさよならの手紙が彼女の元に届く。
彼女は最後のわがままを、戻って来ない愛しい人に伝える。
贈り物が欲しいの。涙を拭く木綿のハンカチーフをください・・・・

これは捨てた側には、きつーい一発なのかもしれない。

今のタフな女性達なら、もらうなら木綿じゃなく上等なシルクで、更にいろいろすごい品物をねだっちゃうのかもしれませんが(笑)


先日、その歌を思い出すような映画を観てきましたよ。


アカデミー賞作品賞・主演女優賞にノミネートされ、
更に数々の賞を端から総なめにした「ブルックリン」です。

この作品については全く知らなかったのですが、
ある日、Facebookでフォローしていた映画サイトで予告編が流れていたので、それを何となく眺めていたら、


「これは観ないとだわ・・・・!!!!」

と言う気持ちがフツフツと湧いて来たのでした。

予告動画にも出て来ますが、
主演のシアーシャ・ローナンと言う若い女優さんが実に良いのです。
透き通るような肌と生真面目そうな小さな赤い唇。ペールブルーの美しい瞳、
たっぷりした二の腕に若さがみなぎってるし!w

ストーリーよりも、この将来有望なダブリン育ちの女優さんがどんな演技をするのか、スクリーンで観てみたかったのが一番の理由かもしれません。

上映館を調べると・・・・・

・・・・すくな・・・(||| ̄△ ̄;)

もうちょっと範囲を拡大しても良いと思うんだけど。

そんなこんなで、
久しぶりに日比谷へ向かいました。


日比谷シャンテの前にゴジラが!

「TOHOシネマズシャンテ」に来たのは29年ぶりでした。
その頃はまだ「シャンテシネ1・2」という名称で、どちらかと言うと地味な良質の作品を上映している映画館でした。

良質、と言う部分では今もその主旨は引き継がれているようですね。

≪あらすじ≫※ややネタバレあり注意※
エイリシュは、厳格な母と優しい姉の3人家族。
アイルランドの片田舎にある小さな食料品店で働いていました。
経営者の老婦人は意地が悪く、エイリシュは辞めたくても他に仕事が見つからず、我慢の日々が続いていました。

そんなエイリシュを心配し、姉のローズがアメリカに居るアイリッシュ系の神父さんに頼み、アメリカで働けるように手配してくれました。
老いた母の面倒を姉に全てまかせてしまう罪悪感と、愛しい人達と離ればなれに暮らす事になる寂しさ、未だ見ぬ大都会への大きな不安に、エイリシュは押しつぶされそうになります。

酷い船酔いを乗り越えながらやっと辿り着いたのは、ブルックリン。
無事に入国審査を通過したエイリシュは、大きな百貨店の販売員として働き始めます。
住まいは女子寮。敬虔なクリスチャンの寮母、キーオ夫人は厳格でしたが、都会を知らないエイリシュを助け、支えます。
寮の仲間達は、ドライな都会の街に良くも悪くも馴染んだベテラン女性達。
その艶やかな立ち振る舞いに、田舎娘のエイリシュは全くついていけません。
百貨店でも、ぎこちない接客しか出来ないエイリシュに、マネージャーの目は厳しい。。

早くもひどいホームシックにかかり、姉の手紙を胸に号泣するエイリシュ。「帰りたい・・・」

そんなエイリシュに、マネージャーと神父さんは簿記会計の勉強をするように勧めます。
ブルックリン大学の会計士コースを受講したエイリシュは、姉の様に会計士として働く事を夢見ながら勉強と仕事に打ち込みます。

そんなある日、エイリシュはアイリッシュ系移民の集まるダンスパーティに参加することになりました。
髪型やらメイクやら、寮のお仲間達はエイリシュにあれこれとアドバイスし、冴えない田舎娘だった彼女もなかなか素敵なレディに仕上がりました。

今で言う婚活や出会いの場でもあるダンスパーティ。なかなか男性に誘ってもらえないエイリシュに、ひとりの若者が近づいて来ました。それが、トニーでした。
低く重い雲が立ちこめるアイルランドの空とは違う、イタリアのまぶしい太陽の様なトニーの明るさと優しさに、エイリシュは少しずつ惹かれていきました。

恋をしている女子はみるみるうちに美しく輝いていきます。

百貨店のマネージャーは鋭く見抜きます。エイリシュに恋人が出来た、と。

トニーの家に招かれる事になったエイリシュ。
イタリア料理は食べた事が無いと知ると、寮のお仲間達は、今度はパスタをフォークに巻き付けて食べる特訓です。
お姉さんがうぶな妹を一生懸命支えているようで微笑ましいww

そんな甘酸っぱい日々の中で、アイルランドから悲しい手紙が届きます。

憧れだった姉のローズが、心臓発作で急逝してしまうのです。

悲しみにうちひしがれるエイリシュ。
アイルランドに帰りたい。
でも・・・・

悲しい目をしたトニーを置いて行く事に、エイリシュはためらいます。

ローズの葬儀に参列したエイリシュは、親友のナンシーと再会し、そこでジムと会うのです。

父親の事業を引継ぐ事になっているジムは、大きなお屋敷に住む背の高い青年。
見違えるほど美しくなって帰国したエイリシュに、ジムは接近して行きます。

穏やかでアイルランド人らしい真面目なジム。周囲はエイリシュとジムの噂でもちきり。

娘を喪い、さらに老け込んでしまった母を1人に出来ない・・・エイリシュの心に迷いが生まれます。
エイリシュの元には、彼女を心配するトニーからの手紙が次々に届いていました。
それを開封出来ないエイリシュ。
住み慣れたアイルランドの空気が心地良い・・・アメリカに帰る予定が延びていく日々。

ジムを選び、アイルランドで母を気遣いながら暮らすのか。
アメリカに帰り、彼女の帰りを待ちわびるトニーの元へ戻るのか。

エイリシュの心が大きく動き出します・・・・


ラストの、エイリシュの下した決断については、賛否両論あるらしいのですが、

私はあっぱれ!だと思います。
よくぞ決心したね、エイリシュ!と、頭をナデナデしたい(笑)

幸せをどこに見いだすのか。
自分の居場所はどこなのか。

それを見極めて一歩前に踏み出す勇気は、誰もが持っているものではありません。

立ち止まり、行き場をうしない、しゃがみ込んで動けない人だって少なくありません。

そんな時に、
エイリシュが選んだ道は、勇気を与えてくれます。
最初にまず、アメリカへ渡る勇気、大学で学ぶ勇気、ダンスパーティに繰り出す勇気、そして、
自分の幸せはここ、と決断する勇気。

映画を観ていると、観客はきっとエイリシュと自分を重ね合わせてしまうのかもしれません。

だからこそ、最後の決断は、改めて自分へのエールの様に思えるのです。

満足度98%と言う高い評価にも頷けました。

良い映画でした。

DVDが出たら、また鑑賞したいと思います。

御覧になりたいなら急いで!
ブルックリン公式サイト

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